2025/08/29
アートディレクター 鈴森 × 脚本 四葩
鈴森 everlasting flowers アートディレクター・原画担当
四葩 everlasting flowers 脚本担当
聞き手 JOURNAL編集部

――『everlasting flowers』が一周年を迎えました。今の率直なお気持ちをお聞かせください
鈴森 一年経った今でも新しい感想をいただけているのが、本当に嬉しいですね。いろんな人が感想を上げて下さったり、公式サイトのフォームから送ってくださっていて、それが日々生きる糧になっています。
四葩 あっという間の一年でした。シナリオを書き終えてからは二年以上経っていますが、つい最近のことのように感じます。
――ファンから寄せられた声の中で、特に印象に残ったものはありますか?
鈴森 「深菜に自分を重ねて救われた」という声を本当にたくさんいただきました。正直、これほど多くの方に届くとは思っていませんでした。
四葩 キャラクター人気が偏らず、それぞれに好きな方がいたこと、幅広い世代の方に楽しんでもらえたのが嬉しかったです。
――想定以上に多くの方々に届いたんですね
鈴森 ええ、自分たちの好みやこだわりを詰め込んだ作品なので、それに多くの方が共感してくださったことがとても嬉しいです。信じて作ったものが受け入れられると、本当に報われた気持ちになります。
――「居場所」や「再生」をテーマに据えた理由は?
鈴森 昔から「居場所」というテーマをいつかやりたいと思っていました。今の時代とも重なる部分があるので、こうして形にできて本当に嬉しく思います。
四葩 たとえ一人でもいいので、救われる人がいる。そんな物語にしたいと思いながら書きました。
――深菜と蘭という正反対の二人を描いたことで、特に伝えたかったことは?
鈴森 対照的な二人だからこそ、お互いの良い面も悪い面も際立ち、より深く人間性を描けると思いました。また、ユーザーの皆さんがどちらかに共感していただけるように意識しました。
四葩 正反対に見える二人も、それぞれ必死に生きている。それをどちらの視点からも描き、テーマがより浮かび上がるように工夫しました。
――先ほど「深菜に自分を重ねて救われた」という声が多いと仰っていましたが、キャラクター作りで意識したことは?
鈴森 殻に閉じこもっている時と、メイクをしてもらって気持ちが変わり始める時とで、細部の描写や表情の違いを工夫し、変化が伝わるよう心がけました。
四葩 深菜は本来、暗い子ではなく、心の傷によって一時的にそう見えているだけです。彼女の根底にある本来の明るさを意識して執筆しました。

――花のモチーフやタイトル『everlasting flowers』に込めた意味についても教えてください
鈴森 オープニングムービーに登場する鈴蘭は、日本スズランとドイツスズランを描き分けています。それに気づいてくださった方もいて嬉しかったです。花言葉も参考にしながら、儚さや永遠性を表現しました。
四葩 ドライフラワーやハーバリウムから着想を得て、タイトルを決めました。
――制作の中で一番大変だったことは?
鈴森 とにかくCGが多く、すべてを丁寧に仕上げるのが大変でした。役者さんのお芝居が自分の想像をはるかに超えて奥深く素晴らしかったので、表情や構図を演技に合わせて描き直す作業はとても勉強になり、同時に楽しい経験でもありました。
四葩 最終話のとあるシーンは納得がいかず、十回以上書き直しました。セリフ収録後に直さなければならない箇所は、地の文だけの修正しかできないので苦労しました。とはいえ全体としてはスムーズに書き切りました。
――楽しかった部分もありましたか?
鈴森 ええ、充実した制作期間でした。
四葩 声と音楽、映像が一つになった完成の瞬間に、この作品を作ってよかったと心の底から思いました。
――『FILMIC NOVEL®』に挑戦した理由は?
鈴森 プレイ時間を確保しにくい今の時代だからこそ、短くても密度の高い体験を提供したいと考えました。ビジュアル面でも感情表現の解像度を高め、映画のように味わっていただける作品を目指しています。
※FILMIC NOVELとは

――作品のボリュームについて、「この長さだから良かった」という声と「もっと長く読みたい」という声、両方届いています。あのボリューム感にした理由は?
四葩 当初はもう少し短くまとめるつもりだったのですが、キャラクターの内面をしっかり描いていたら現在の長さになりました。削ることも検討しつつ、最終的には『このままでいい』という結論になりました。結果的にちょうど良い長さだったと思います。
――「一歩踏み出す勇気をもらえた」という感想が非常に多くありました。お二人は、このテーマをどのような風に伝えたいと思っていましたか?
鈴森 副題 "Where there is a will, there is a way." の通り、意志があれば道は開けるという思いを強く意識して細部に込めました。
四葩 できるだけ直接的な表現にならないように気をつけました。その言葉をいただけただけで、作ってよかったと思います。
――「もっと読みたい」「一年後の深菜を見たい」という声もありますが、続きや「その後」を書きたい気持ちはありますか?
四葩 今ならもう少しうまく書ける気がするので続編を書きたい気持ちはあります。あとは応援次第でしょうか。
――ファンから「アニメ化してほしい」という声もあります。どのような広がりがあると嬉しいですか?
鈴森 とても愛情を込めて作ったので、他のクリエイターの方々の手によって、作品がさらに広がっていったら嬉しいです。
四葩 アニメで動く深菜たちを見たいです。脚本としても映像化を意識した構成にしているので、いつかそんな日が来たら嬉しいです。
――もしアニメ化するとしたら、特に映像で見てみたいシーンは?
鈴森 やはり深菜と蘭の心の距離が近づいていく場面ですね。空や光の色合いにもこだわって描いた場面なので、映像でも見てみたいです。
四葩 最終話のクライマックスシーンです。何度も書き直したところなので、映像で動いている姿をぜひ見てみたいです。
――完成した音楽を初めて聴いた時の印象は?
鈴森 主題歌は二人の感情が混ざり合った声色を感じて、とにかく素晴らしいと思いました。BGMも生楽器中心で空気感や感情を深掘りしてくれました。
四葩 歌はオープニングもエンディングもラフを聴かせていただいた時点で素晴らしいと思いました。BGMは「Red Contacts」「Blue Contacts」が特に好きです。ピアノコンサートで歌バージョンが聴けたのも嬉しかったです。

――2月には銀座王子ホールでピアノコンサートを開催しました
四葩 会場全体が一体となって終演を迎えられたことが印象的でした。ホールも演奏も素晴らしくて、本当に開催できてよかったです。次回もあったらいいなと思っています。
――今後の展望や次の作品作りについて、話せる範囲で教えてください
四葩 『everlasting flowers』の次にどんな物語を紡ぐか、鈴森さんと新しい挑戦を始めています。詳細はまだお話しできませんが、また皆さんに楽しんでいただける作品を作りたいと思っています。
――最後に、ファンの皆さんへ一言お願いします
鈴森 『everlasting flowers』をプレイし、応援してくださって本当にありがとうございます。皆さんの温かい感想を読むたびに、この作品を作ってよかったと心から思います。
四葩 まだまだ続いていったらいいなと思います。引き続き応援よろしくお願いします。みんなで『everlasting flowers』の世界を広げていきましょう。
JOURNALは今後も定期的に更新予定です